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2008年12月15日 (月)

感慨から一夜が明けて

先週は「J1残留」の合言葉でサポーターが一丸になって戦った2日間でした。そして、それが現実になり、来季もJ1チームとしてリーグ戦に挑む事ができます。
その激闘の様子は今週も地元のスポーツ番組やラジオの「ole ole JUBILO」で改めて実感すると思います。

地元新聞には昨日、試合の様子や応援する人たちの様子だけでなく、今シーズン終了に伴うサポーターに対する感謝の言葉を記した記事が出ていました。
また、携帯サイトでは「J1残留を決めました!ねぎらいと来季に向けた応援メッセージ」を受け付けているそうです。

地元新聞のWeb限定のスポーツコラム「だんまく」も今週のお題は「ジュビロ、再生始動」。
作者の方が電車に乗っていると、サックスブルーに身を包んだ夫婦に若者が「ジュビロどうでした」と声を掛けると「お陰様で残留しました」「そうですか。良かったですね」「ありがとうございます」。一方で離れた席にはベガルタ仙台のチームカラーの上着を紙袋にしまい、時刻表を見ながら鈍行の帰路に就く4人組の若者がいて富士駅に近づくと、身延線の乗り換え案内が流れ、「来年も甲府に行かなきゃならないか」と4人組の1人が苦笑していたそうです。
先週、行われた最後の「入れ替え戦」は、1勝1分けでジュビロがJ1残留を決めました。過去3年連続でJ1チームが苦杯をなめてきた入れ替え戦では過去の対戦成績のリーグ戦とカップ戦合わせて磐田が6勝1分けと負けなしだったが、その過去の数字が参考にならない試合である事は誰もが分かっていた。事実、2vs0で迎えた第2戦の後半ロスタイム。1点を返されて、なお窮地の連続。ゴール前の攻防でクリアボールがことごとく相手に渡り、同点に追い付かれればアウエーゴール数で仙台に逆転され、J2降格という薄氷の数分間。
ゴンさんを始め、今季限りで引退する名波ら控え選手を始め、ベンチ入りできなかった全選手もピッチサイドでイレブンを鼓舞し、祈るように見つめるゴンさんの姿は、あの「ドーハの悲劇」を思い起こさせたが、悪夢は繰り返しませんでした。ゴンさんが試合後、サポーターに「この苦しさを忘れずに来季につなげたい」と挨拶。残留をたぐり寄せる懸命の戦いは終わった。
喜びは一瞬。この場にコマを進めてしまった原因は何か。自覚と反省が重要。昨日の新聞の見出しでもある「名門の意地」は「リセットとリスタート」でこそ真価が問われます。
リーグ戦から数えれば、5試合ぶりの白星。「勝って終わる」。選手もサポーターも「歓喜」はなく「安ど」の笑顔でした。かつて「日本代表より強いのでは」とまでいわれた常勝軍団も、リーグ制覇は2002年、優勝に限れば2004年の天皇杯とゼロックススーパーカップが最後。「過去の栄光にすがっていた訳ではないが、厳しい試合で全力を出せなかったから、ここまで来た」とゴンさんは自覚を促した。一方で、常勝時代から好敵手の鹿島はリーグ2連覇を達成。「何故こういう結果になったのか?現場もフロントもとことん分析しないといけない。鹿島との差がどこにあるのか」という名波の厳しい指摘は、社長の引責辞任表明だけでは好転しない事を念押ししている。
ちょう落の原因は複合的だろう。ただ、明らかなのは、中堅選手の欠落。ゴンさんや名波のように精神的支柱として、川口や鈴木秀のようにベテランの先発陣として、それぞれにチームをけん引する存在はあっても、縦横無尽にピッチを駆け回る中堅のチームリーダーが見当たらない。移籍組や若手が先発布陣の核をなすが、現在20代半過ぎとなる入団世代のほとんどが期限付き移籍を経て、他クラブに活路を求めた。強じんな先輩たちの陰に隠れて芽が出なかったという側面もあるが、育てきれなかったという反省もある。名実ともに日本を代表する名プレーヤーに寄り掛かれば掛かる程にスムーズな世代交代も難しい。1年でJ2再降格となった東京Vの例を出すまでもありません。
鹿島は得点王に輝いた元清水のマルキーニョスの活躍もさることながら、代表歴も持つ20代半ば過ぎの中堅選手と内田ら若手が見事に噛み合っている。そこには確固たる戦術の下、誰が出ても変わらない強さがあり、これは常勝時代のジュビロが誇った事でもある。名波の言う「未来につなげる試合」は良薬の苦味という経験と共に、2試合全得点を稼いだ松浦の活躍という来季以降の希望も見えた。ユースではなく浜名高校出身でプロ2年目の19歳。左足を振り抜いた強烈な第1戦の同点弾、第2戦の先制点は胸で押し込み、決勝点となった2点目はドリブル独走から相手DF2人とGKを振り切った。身長は166cmと決して恵まれていませんが、救世主となり「ラッキーゴール」と謙そんするが、「未来をひらく」3発と期待したいところです。
心労を掛けたサポーターに向かい、ゴンさんは「ゴンゴール」のダンスパフォーマンスで感謝の意を示しました。胸のクラブエンブレムを何度となく叩いて「ジュビロ魂」の継続も誓いました。改めて名波が胴上げを受け、来季の契約更改がなく、移籍が確実な元日本代表DFで磐田一筋15年の田中もチームメートの手で宙に舞いました。一抹の寂しさはあるが世代交代、名門再生への通過儀礼としましょう。2004年から翌年にかけて2年連続でJ2降格の危機を経験した清水も長谷川健太監督の指揮と若手の台頭で上位を伺う存在までに復活しました。来季からはJ1下位3チームが自動降格となり、入れ替え戦はなくなる。再生への道は年明け始動、そして春季キャンプから危機感を持ってスタートしますする。

「残留」を最大目標にチーム再生を担ってきたオフトは「16日の感謝の集いの後、ホリデーに入る」と試合後の監督会見の最後に辞意を表明。残留を置き土産にチームを去ります。
これを受けてチームは一気に来季の体制づくりに取り掛かり、柳下コーチの監督再登板が最有力と見られていますが、まだ流動的な要素が強く、今後の推移が注目されています。
指揮を執ったのは9/13の京都戦から。「残留させる事が仕事だった」というオフトは、まず低下していたフィジカル面の強化を図った。試合の為の戦術練習と共に激しいフィジカルトレーニングを課すのは「非常に難しかった」と振り返ります。ベンチを預かっていきなり3連敗し、一時は17位まで後退した。そこからの6試合は3勝2分け1敗で切り抜け15位まで盛り返したものの最後の2試合に連敗し、屈辱の入れ替え戦に。それでもチームは剣が峰で踏みとどまり、「目標は残留だったので、結果には満足している」と胸をなで下ろしました。
「ここ5年、チーム力は年々低下していた。チームは掃除しなければならない」と指摘した上で「来年はフレッシュなスタッフでフレッシュなスタートを切る事になる」と、最後は再起に期待していました。

チームは激闘から一夜明けた昨日もいつもと同じようにトレーニングが行われました。J1残留を決め、ようやく前代未聞のプレッシャーから解き放たれた選手たちが、疲れを溜めない為のトレーニングを行いました。ケガをしない身体作り、そしてよりレベルの高い練習を行えるように準備とケアもプロとしての仕事。試合の事、これからの事、様々な話をしながら身体を動かしていきます。
昨日は日曜日だったので、観覧席には多くのサポーターが駆けつけ、残留した喜びをサポーター皆と共に分かち合いたいという雰囲気の観覧席隅には「THANK YOU OOFT」という1つの横断幕が貼られました。残留を決めてくれた事はもちろん、12年前にも指揮してくれた事や更に前のヤマハフットボールクラブ時代から指導してくれた事、ジュビロを常に気にしてくれ支えてくれている事にサポーターからも感謝の想いがこの横断幕から伝わります。
練習後、名波は大久保グラウンドをじっと見つめていました。全日程が終了し、今日のトレーニング、そして明日はオフ。16日が今年最後のチーム練習となるが、名波にとっては今日から本当の意味での「長いオフ」始まります。選手としてこのグラウンドで数多くの仲間とボールを蹴り、多彩な戦術からあらゆるパスを配給。タイトルを取り、数多くの歴史を作ってきた場所。選手・チーム・クラブ関係者全員が同じ想いを持っている。そして何よりサポーターから愛された名波に「ありがとう!」と伝えたい。本当にお疲れ様でした。

ジュビロ再生の道はチームだけでなく、J1昇格から15年が経過したホームタウンの課題も指摘。「ホームタウン推進協議会」の理事長は「推進協メンバーの若返り等も含め、強いジュビロ再生の為の支援方法を再検討したい」と決意を新たにし、ジュビロード商店街の理事長も「磐田の名を全国に広めてくれたのはジュビロ。原点に戻って、商店街としてホームタウンを盛り上げていきたい」と話しています。
磐田が一丸となって歩む時が来ているようです。

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